どこにでもあるどこかになる前に。

私はひらすま書房(射水市の古本屋.LETTER1F)の妻でもあるので、時々お店の本についても紹介したいと思います。

第1回目は、富山でライターとして活躍されているピストン藤井さんが、本名の藤井聡子名義で出版された「どこにでもあるどこかになる前に。」(新刊)についてです。

私はお会いした事がないのですが、夫が早くからピストンさんの本「郷土愛バカ一代!」を販売していたこともあり、存じあげていました。

「郷土愛バカ一代!」の内容もさることながら「ピストン藤井」というペンネームをつけるあたりに、人としての面白さや魅力が溢れ出ている気がして、あっという間にファンになりました。当時まじめな教員だった私にとって「こんなに面白い人が富山に!?」と、衝撃的かつ感動的な出会いでした。

夫のパソコンはフェイスブックと連動しているため、私がそのパソコンで仕事をしている時に右上にメッセージが表示されることがあります。ピストンさんからのメッセージは「ピンポンパンポーン。サモハンキンポーン」で始まります。最高です。

そんな夫と交流のあるピストンさんなので、会おうと思えばいつでも会えるはずなのですが、あまりに好きすぎてドキドキしてしまい、実は未だに直接ご挨拶すらしたことがありません・・・。遠くからお見かけしたことはあるのに、いざご挨拶に行こうと思うと緊張し足がすくんでしまいました。

それほど私にとっては憧れの方なのです。

さて、そんなピストンさんの本書ですが、就寝前にも関わらず一気読みしてしまうほど引き込まれる一冊でした。

見慣れた富山の風景とともに語られる、アク強めの富山県民。自分が体験したことではないのに、なんだか共感できることが多かったのは、東京から富山へ帰ってからのピストンさんが味わった疎外感が、公務員を辞めてから私が味わったそれと似たものがあったからだと思います。

富山の人は、良くも悪くも保守的。

大学を出て、就職して、結婚して、子供を産んで、一軒家に住んで・・・。それが当たり前であり幸せなこと、と大半の人が信じて疑わない。

教員を辞めて自営業者になるなんていう、超少数派の行動を取った私も、世間からの無理解を痛いほど味わいました。

「みんなが思う幸せ」から外れたところにいると、だんだんと自分が間違ったことをしている気になってきます。

ですが、この本の中には、この閉鎖的な富山の中にいて発想が飛び抜けた個性豊かな少数派の人たちがたくさん登場します。というか、そんな人しか登場しません。(笑)

一見、他の人からは理解されがたい生き方かもしれないけれど、みんな自分の信念をしっかりもち、人生を大事にしている方たちばかりです。

みんなと同じでもいいけど、みんなと違ってももちろんいい。

私も自分の人生を大事にしたいと思って、数年間悩んだ末に教員を辞めました。道無き道にときどき心が折れそうになりますが、間違いではないよ、とピストンさんに言ってもらえたような気がしました。

「どこにでもあるどこかになる前に」のタイトルに込められた深い意味。ピストンさんの熱い想い。

読み終わってからは、タイトルを見るだけで涙が出そうになります。

周りに流されず、自分らしく今の歩幅を大切にしながら、また次の一歩を進んでみよう、そんな勇気をくれる一冊です。

「緊張する」と言いつつ、大胆なことをしてしまうのがこの私・・・。今はご挨拶すらできていませんが、いつか「さとちゃん」「えりちゃん」と呼び合えるほどに仲良くれる日を夢見ています。(笑)

おしまい